画家イラストレーターの佐々木悟郎先生の講座を受けた日★ワタシは変わる
・お題
スケッチ講座…
佐々木悟郎先生…陰影の描き方がカッコよくて好きな画家のひとりです。その佐々木先生のスケッチ講座が大阪であって参加しました。この一回だけの講座がその後、ワタシの描き方を変えることになります。10年以上も前のことでした。
佐々木先生に限らず、何かの講座に参加するのはこの時が初めて。ドキドキしました。高名な方の講座にワタシなんかが場違い…不釣り合い…怖いもの知らず…なんて言葉が頭に浮かぶのです。でもこういうチャンスはそう無いだろうと、会場も近くだったので思い切って参加しました。
ずいぶん昔のことなので、細かいことは覚えていませんが、この時の体験がずーっと影響するのでした。
下描きなしの直描き…
一つは鉛筆で下描きせずに筆でいきなり描くことを体験します。下描き無しで描くなんて無茶だと思いました。会議室でひと通りレクチャーを受けたあと外に出て野外スケッチ、一枚目はやっぱり下描き無しで描くことができずに、いつも通りの自分の描き方でスケッチしました。それが描けたころ先生は見に来ました。ワタシの描き方を否定しませんでした…ここ、ポイントかも…先生の言う描き方と違うことやってたのに否定されなかったのでホッとしました。それで次のことを受け入れやすくなったと思います…で、先生は2枚目は下描きなしで描いてみようとチョコッと手本をみせてくれました。
半信半疑、見よう見まねでワタシも下描き無しで描いてみます。
すると面白いのです。うまく描けたかどうかより筆の直描きが面白いのです。
奥津国道先生は著書で、鉛筆下描きは冬、着色は春…と、下描きでデッサンすることの苦悩と着色することの開放感を季節に例えてました。
根気に欠けるワタシが、冬をスッ飛ばしていきなり春から始めたようモノ、ち密なデッサンをしなくてもいいのだという解放感…それよりも鉛筆のにとらわれずに自在に筆を運ぶ解放感が楽しかったのです。
もちろん下描きをしないのですから、形が不正確だったり構図があまかったりします。やり直しが難しい透明水彩では尚のこと。
今でこそ下描きをするようになりましたが、この講座をきっかけに、長い間、ずーっと下描き無しでスケッチを続けてきました。
ワタシの感じた直描きのメリット…
・瞬間的なデッサン力が高まる。
・手順を考えるようになる。
・筆に勢いがつく。
・早く描くことができる。
・構図や空間を捕まえる力が高まる。
・根気のいる下描きデッサンから解放される。
・下描きなしです…と言うとカッコいい。
・あるいは下描きして無い…と言い訳できる?
デメリット
・複雑な構造物が描くのが難しい。
・構図があまくなる。
・白を計画的にぬり残すのが難しい。
…などです。ま、最近知り合ったNi名人のスケッチをみてると、このデメリットを感じません。てことはデメリットはワタシの画力の無さですかねえ…はは
マスキング
それといただいた言葉…
"マスキングはあまり使わない方がいい"
そのころマスキングを少し使い始めていました。もちろん使いこなせていませんが面白いものだ便利なものだと思うと同時に、どこか違和感もありました。
違和感はワタシが使いこなせてないからあるのだろうと思ってました。そのとき先生から使わない方がいい…と言われ、
違和感を感じるのは技術的なことではなくマスキング自体の質によるものなのかと思いました。
"あまり"というのがクセものです。ケースバイケース、使った方がいい場合と使わない方がいい場合があるのでしょう。その違いがワタシにはわかりません。
その時、どうして使わない方がいいのか、先生にその意味を聞けばよかったのですが、そうしなかったのです。ワタシのクセ…というか長所であり短所でもあるのですが、疑問を感じたことは誰かに聞くのではなく自分で考え調べて自分でその答えを見つけようとするのです。
未だその答えは見つかりませんが、最近になってあべとしゆき先生の著書の中にその答えらしきものを感じました。
透明水彩で描く方ならわかると思いますが、白をどのように表現するのか? マスキングはその答えの一つです。そしてマスキングをしないで白を描くってのは、ホント悩まされます。
にじみ…
植物の緑を描きました。赤い花も描きました。そのとき絵の具の緑と赤がにじんで混ざりました。当然、色は濁ります。先生はそれが面白い…と言うのです。
当時は、その良さがワタシにはわかりません。濁らさずに赤い花の鮮やかさをクッキリ描くのがいい…と思ってました。
このことは最近になって、少しわかってきたように思えます。
どうわかったかって? それは…説明するのは難しいのでまたにします…と逃げました。
守破離と呪い
バカなワタシは、高名方の言葉をうのみにすることがあります。その言葉の真偽はさておき、その通りにしなくてはならないと…思い込むのです。
佐々木先生の言葉はニセモノだとは思いません。その言葉を頼りに、たくさん学ばせていただきました。そしてその言葉から離れる時期もやってくることを後で知るのです。
守・破・離
守破離という考えが、古くから日本に伝わっています。
守…ずーっと先生の教えを守って下描きなしでスケッチを続けました。
破…そしてた数年前にから下描きを始めました。
離…ワタシ独自の世界が生まれるのはこの先でしょうか、ワタシの力では生まれないかもしれませんね。
呪い
"言葉をうのみする"…これはある種の呪いのようなもの、お気をつけくだされ。
加古川で活躍されている画家木澤平通先生の個展でお話をうかがいました。
風景を描くとき、空から描き始めることが多いのですが、木澤先生は空が決まればその絵はうまくいく、空が決まらなければその絵はダメ…てなことをおっしゃいました。確かに空の明るさとか、その画面を支配する空の力は大きいと思います。
で、あるときのスケッチ、描き始めに空をうまく描けなかったことがあって、そのとき木澤先生の言葉が浮かんで、ああこの絵はダメになる〜とあわてました。これ呪われた状態です。呪われたと言っても、自分で自分を縛っているだけで木澤先生のせいじゃないのですけどね。
言葉って、思わぬ影響力ありますね。
このときのスケッチはどうなったのか?
そのうち、失敗したときどうするの?…てな記事を書くかも…って事でまた逃げます。
こっちも見てね…
…おしまい