スケッチ歴16年 ★ 描くのをやめた3年間…そして再起動する前夜をいつか書こうと思ってた。
通夜
あんなに描くことが好きなのに先に逝ってしまったその友人、描くこともなくただ引きこもっているワタシ…今から4年前のことです。
スケッチをともにするようになったIsさんは、亡くなったその友人の妻でした。
これでいいはずがない…
通夜にいけば大学時代の友人たちに会うだろう。そのころ不調だったワタシは人に会うのが不安で行きたくない気持ちもあった。でもその友人のことを思うと…
行かないと後で後悔する、通夜に顔を出す。大学時代の友人たちが集まってきた。卒業以来、久しぶりに会う人もいる。
弔問客一人ひとりにあいさつをするIsさんが憔悴した姿で言った言葉…
“生きているうちに会いたかった?”
…胸に残る。
大学の友人たちとも会った。どうなるかと不安もあったけど特に何もなかった。むしろ、みんなそれぞれ何かしらを抱えて生きてきいるんだなあ…辛いのは自分だけじゃないと感じた。
道のり
亡くなった友人の分も生きようと、その死をきっかけに立ち直るというストーリー…そんなカッコよく真っ直ぐなモノじゃない。
Isさんのこと、その友人のことを思うと、生きてる自分が何もせず引きこもっていることが申しわけなくて情けない。
…分かってはいるが身体が言うことを効かない。それから数ヶ月、このままではダメ、でもどうすることもできない自分、そんな日々が続いた。
風が吹く
そのころ職場ではムリせずに、でも周りに迷惑をかけないように最低限の仕事をしている自分はポンコツ気分だった。
ところがあるきっかけから、自分はパソコンのエクセルが使えることに気がつく。自分にできることは誰でもできる、ワタシのエクセル技なんてたいしたことないと思ってたけど、どうやら周りの人より自分が詳しいようなのだ。
こんな自分でも役に立つならとエクセルを使う仕事を引き受けはじる。たまにはお役に立たないと…
今から思うとこれがキッカケだったかもしれない。エクセルが使えたことではなく、こんなワタシでも誰かの役にたてるという実感がターニングポイントだったと思う。
たとえ自分が何かの役に立ってたとしても、その実感が伴わないと行動を起こす力に繋がらないのだろう。
またひょんなことからアニメ筆のことを知った。ジブリで背景画を描いてきた男鹿和雄さんが、熊野筆のある工房と共同開発した和筆、種類で言えば削用に近い。男鹿さんと筆職人とで一本の筆を作りあげていく過程、そのメイキングストーリーにプロの仕事を見る。となるとその筆を使ってみたくなり購入した。
ワタシの中の風向きが変わり始めた。
人と会うのがイヤで、ずーっとパスしてた職場の飲み会も久しぶりに参加する。
まだ描く…という決意ができたわけじゃないけどファヴリアーノの水彩紙を購入する。
少しずつ再起動するためのエネルギーがたまっていく。
職場の環境にも恵まれていた。ワタシの状況を知っている人も知らない人も、フルで動かないワタシを認めてくれる人が周りにいる。そこにはワタシの居場所があったのだ。
おそらくどこにいても居場所はあっただろうが、そのことを感じられない心境だった。今だからこそわかるのだだと思う。
当時は自分をダメと否定し、他人にその状況を知られることを恐れ恥ずかしいと感じていたのだ。
金色のペガサス
一歩ずつ動き出そうとするワタシをその友人が、そっと背中を押してくれているような気がした。心配しながら、でもそれを顔に出さず、ニッコリ笑ってワタシを見守ってくれている気がした。
スケッチを再開させるのは描かなくなってから3年、友人の死から半年たってからのこと。
その友人の死に直面しなかったら今のワタシはどうだったのだろう。ワタシがどのようにあがいたってその死を止めることは出来なかったけど、残された者としてのワタシはどうなのかな?
ワタシが再起動できたことのキッカケを与えてくれたその友人の他界…その恩を少しでも返すことができたらという思いとIsさんが悲しむ姿は見たくないという思いもあってスケッチを続けている。
もちろんスケッチ自体も楽しい…ワタシが描くことで喜んでくれる人が周りにいることを知ってからより楽しい。
幸せの三つの条件
昔、ワタシが思いついた幸せになるための3つの条件…
- 好きなことをする
- 人に迷惑をかけない
- 人から感謝される
やっぱ、コレ、当たってる気がする。
絡み合う二つの思い
このことを書くとき、誰かの治りかけたカサブタを剥がしてしまうのでは無いかとという不安と、このような記事でもどこかで誰かの力になってくれたらという希望、その二つの思いが絡み合う。
今までも自分の気持ちとその頃の事を整理したいと思い、なんどか記してきた。でもうまくまとめられない、今回も本心を書き切った感が薄い。ごまかして体裁を取り繕うつもりもないが、表面だけを記したように思える。
いつか全てを得心のいくように書ける日が来るかな…