つれづれ本の旅 ☆ 人から嫌われると幸せになれる? いまさらだけどアドラー心理学のベストセラー
2022.7.20 Readingguide03-kirawareruyuuki
☆ 画像は三島池など米原の景観
・お題は…
嫌われる勇気
岸見 一郎 、古賀 史健 著・ダイヤモンド社
嫌われることを恐れない
インパクトあるタイトルがそのまんま本のテーマか、シンプルに言うと…
- 自由に幸せに生きるには、嫌われることを恐れずに自分を押さえこまない
…ってことか? で、この言葉でまとめちゃうとアドラーは自己中、ワガママを認めるのかと誤解されちゃう。
まあワタシの紹介に、間違いがあったらごめんね。
ちなみにアドラー心理学は、フロイトと並ぶ心理学の大家、アルフレッド・アドラーが提唱した心理学。日本ではアドラー心理学、個人心理学などど呼ばれているそうな。そしてこの本はアドラー心理学の入門書で知られている。
アドラー心理学入門書
もちろんアドラーは自己中ワガママを推しているのではない。むしろ人とつながり他者や社会に対する貢献感こそが幸せになるポイントだと言う。
この本はアドラー心理学の入門書としてベストセラーだけあって面白いし、わかりやすい。
わかりやすいと言っても、読書非力のワタシにはその全てを説明するのは難しいけどね。
アドラー心理学は抽象的概念をとやかく論じるより、具体的に生きることのさまざまな悩みを対話によって解消しようとするスタイル。
だもんで、この本も論文ではなくアドラー心理学の大家と青年との対話を物語として書かれている。そしてアドラーには基本的な考え方がいくつかある。
- 目的論
- 劣等コンプレックス
- 課題の分離
- ライフスタイル
- 人生のタスク…などなど。
目的論
目的論にはビックリした。アドラーはフロイトの言うところのトラウマを否定している。前にブログで、このことに関連した読書ギライについて書いた。
ワタシは読書が嫌いで、本を避けていた。それは幼い頃の経験がキッカケになって本ギライになったんだ、仕方ないよね。
…と、過去のトラウマのセイにしていた。
それをアドラーの目的論から考えると…
本を読まない…という目的のために、過去の経験を原因だとコジつけてきたのだ。同じ経験をしても、本ギライにならない人もいただろう。
じゃナゼ本を読まないことを目的にしたのか?
それは難しい本を読めないバカな自分をさらしてキズつきたくないから…なのだ。
このような心の動きをアドラーは、劣等コンプレックスという言葉で説明している。
劣等コンプレックス
劣等感と似てるけど違うよ。自分はダメだなあと思う劣等感は誰もが抱く人の自然な心の動き、そして同時になんとか良くなりたいと向上心も生まれる。アドラーは劣等感を否定しない。
- まっとうな劣等感…
ワタシの場合、難しい本が読めないという劣等感があるなら、じゃ読めるように勉強しよう…と向上心を持って努力するのが本スジだった。
ところが歪んだ劣等感…劣等コンプレックスでは、努力することを避けるため、いろんな理由をつけて逃げる。理由は自分の過去の経験であったり、他人であったり、社会であったりとさまざま。
- じゃナゼ努力から逃げるのか?
それは努力しても、できなかったらさらにダメな自分にキズつく、努力してもうまくいかない自分はダメなヤツ…と証明したくないので、また逃げているのだ。
あるいは、ホントはやればできるんだ…という空想の世界へ逃げ込み安心しているのだ。
君はやればできる…という言葉が相手に響かないのは、この心理が働いているからかもね。
ワタシの場合、過去のトラウマを理由にしていた。
で、劣等コンプレックスは、他人と比べるときに生まれやすい。できない自分にキズつくのではなく、他人にできて自分にできないことにキズついているのだろう。そして他人との優劣、勝ち負けは人に上下関係を持ち込みやすい。優れた人を目標にすることはあっても、勝つために人を蹴落とすことではない。あくまでも自分を成長させるための自分との戦いなのだ。
メジャーの大谷翔平選手を見てると、他人に勝つよりも自分を成長させるために頑張っているように思える。まあ、本人の気持ちをキチンと聞いたことないからワタシの想像だけどね。
ん、この理解で合ってるのかなあ? あやふやで、すみません。
課題の分離
人生の悩みは、100%対人関係にある…とアドラーは考える。そして対人関係の悩みは、課題の分離ができていないために起きる。課題の分離をシンプルに言うと
人は人、自分は自分、人の課題に立ち入らない。自分の課題に他者を入らせない。
この辺りの理解が難しくアドラー心理学は利己的な思想だと誤解されやすい。そう言えば
タモリさんがこんなことを言ってた
他人に期待などしなければ、つまらないことで感情的にならずにすむ。そうすれば人間関係に波風も立たなくなり、円満にだれとでも付き合える
課題の分離はこれに近いのじゃないかな。人への期待はともすれば見返りを含む。見返りがないと裏切られた感が生まれる。期待どおりの結果を出すかどうかは相手の課題なのに見返りという自分の希望、自分の課題を相手に持ち込むことで人間関係がもつれやすくなる。
ただ期待しない=人間関係を断ち切る…ことではない。再びタモリさんの言葉…
円満にだれとでも付き合える
人と付き合うことを前提にしている。うまく言えないけど、よりよい人間関係をつくるために、人は人、自分は自分と課題を分けるのだ。
ライフスタイル
自分のライフスタイルは、自分で選んだモノだって。
- イヤイヤイヤ、今の自分は生まれ育った家庭や仕事などの環境で決まったモノなんだ
…という考えもあるでしょう。
でも自分で選んだとするなら選び直すこともできる。それは性格も含めてのこと。アドラーは自分を変えることはいつでもできる…と考える。
- イヤイヤイヤ、性格を変えるなんて簡単にできないよ
…と言う人もいるでしょう。
アドラーは、その人が性格を変えられないのじゃなくて、変えないことを選んでいる、変えないと決めている…と考える。
- イヤイヤイヤ、自分の性格がキライだから変えたいんだ、だけど簡単にできないんだ
…と言うでしょう。
今の性格やライフスタイルに不満はあるかも知れないけど、性格やライフスタイルが変わったとき、何が起こるのか、自分がどうなるのかが不安、そのときどうすればイイのか分からない。ひょっとしたら…カッコ悪い自分をさらけ出すかも、人から批判されるかも、自分がキズつくかも知れない。それなら少々不満でも今のままなら予測できる、少しガマンすれば変化はなくて安心できる…だから変えない…と決めているのだ。
変わることへの不安、それを乗り越えるには勇気がいる。アドラー心理学は勇気の心理学とも言われる。
ではその勇気はどこから生まれるのか、どんなときに勇気を失うのかも、アドラーは語っているよ。
勇気の心理学
そこでよくある誤解…誉められたときに生まれる自己肯定感がその勇気を生み、褒めることがその人を成長させる。
アドラーは褒めることも怒ることも、全否定している。どちらも他人を支配するための心の動きなのだ。ワタシ的には怒ることはときには必要だと思うけどね。
褒めることのリスクは、アチコチで語られる始めているのでは?
じゃ変わるための勇気はどこから生まれるのか?
それは人から感謝されること、そして他者への貢献感。
感謝を伝える言葉と褒め言葉の区別がなかなか難しい。感謝を伝える言葉の代表はありがとう。
そして貢献じゃなくて貢献感。その人が誰かの役に立っていても、その人自身が貢献していると実感してないとダメ。何かをしたとき…
- 苦労したなあ、けど人の役に立てて嬉しい
…という気持ちがあれば、さらに次の行動、困難に立ち向かう力となる。
- 苦労したなあ、けど誉められて嬉しい
…という気持ちも、次の行動につながることがあるけど褒める人がいなかったら、
- 誉められないなら、苦労してまでしたくない
…で終わることになりやすい。
- 苦労したけど、人の役に立てなかった
…で終わったときは次こそ役に立ちたい…新たな行動への芽を残すことができる。
人の役に立つ、貢献感を体験している人は強い。そうでなければボランティアなんてものはアッと言う間に世の中から廃れてしまう…これ、持論ね。
そしてここには落とし穴がいくつかあるよ。
落とし穴
- 自分の気持ちを押さえつけてまで、他者に貢献することではない
- 生産性…経済的な価値を生み出すことだけが貢献じゃない
他人から嫌われても自分に正直に生きる方が幸せになる…本のタイトル、嫌われる勇気につながる。そして生きている…だけでも誰かの支え=貢献になっている。自分の家族のことを思えば想像つくよ、家族は生きているだけでもありがたいもの。
まあ、ワタシのフニャフニャ図書案内より、アドラーを知りたい人は…
この本を読んでください
過去やいろんな束縛から自分を解放し、自分を変えるキッカケになる一冊です。
ネットで購入ならこちら…
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…おしまい