つれづれ本の旅 ☆ 絵画関連でも自己啓発でもないけど、これは知っておかないと…
2022.8.16 Readingguide04-cakegakirenai
♪ 画像は星ヶ丘にある SEWING TABLE COFFEE
・お題は…
ケーキの切れない非行少年たち
宮口 幸治 (著) 新潮新書
この本のことをシンプルに言うと…
- 忘れ去られた人たちがいるよ
…ってことだけどガスレーザーさんが激ハマりし、教育関係で話題になったこの本、この忘れられた人たちの現実を教育関係の人はもちろん、あらゆる人たちが知った方がイイと思うのです。
3等分
本のタイトル、ケーキを切れない少年たちとは…
ホールケーキを3人分けましょう、丸いケーキを3つに切るのです。
丸いケーキを3等分するには、だいたい下ののように切るよね。
ところがケーキを切れない少年たちは次のように切ろうとします。
正しく切れないことが問題ではなく、このような認知機能が乏しい少年たちが、周りの大人たちから気づくかれることなく放置されてきたことが問題だと著者は語ります。
少年たち…と言う言葉には少女も含まれます。これは著者にならって、少年と表現させていただきました。
認知機能
認知機能が乏しいってどういうことでしょうか? 例えば…
- 人の話を聞いて理解することが難しい
- 簡単な足し算、引き算ができない
- 漢字が読めない
- 簡単な図形が写せない
- 短い文章を復唱できない
…のように見る力、聞く力、見えないものを想像する力が弱くて勉強が苦手、そしてそれだけではなく、
- 人の表情から相手の気持ちを察することが難しい
- 空気が読めない
…など対人関係がうまくいかないのです。
あれっ、これってワタシのこと?
まあ大なり小なり、誰にでもあるようなことですが…
誰も知らない
忘れられた少年たちは、日常生活でのレベルで一見なんの問題もないように見えて、ホントのところは何も理解できずにいます。
なので小中学生なら怠けている、うそつき、不真面目…と誤解されることがあります。空気や相手の表情が読めないので、周りの人は自分に対して悪意を持ってると感じることもあります。人とのコミニケーションがうまく取れないのです。
ホントはいろんな支援が必要なのに、医療からも特別支援教育からもケアされず、誰も気がつかず、親からもほったらかしになることもあるようです。
コミニケーション
そのまま問題なく大人になることもあるでしょう。でも認知機能が乏しいため、正しい判断が出来なくて短絡的な行為をとったり、人とスムーズなコミニケーションが取れずイジメにあったり、ストレスを溜め込みそれらが原因で犯罪を犯してしまうこともあるのです。
著者は少年院などでそのような少年たちに出会い、認知能力の乏しい少年たちの更生に取り組んできました。少年たちは、被害者の気持ちを理解することが難しく反省することができずにいます。再犯の可能性も高いと考えられます。
ちょっと待て
…犯罪があるってことは被害者がいることを忘れないで、認知機能の乏しい少年たちをほったらかしにしないでケアすることができれば、被害を防ぐことができるのでは?
今すぐきること
少年たちの認知能力を改善しようとするシステムは、学校教育、医療、少年院などの更生施設などにはありません。著者は、認知機能を高めるコグトレというトレーニング法を編み出し、それを広げよう取り組んでいます。
ふーん、そーなの、知らなかった。でも自分と関係ないや
…と思う人もいるでしょう。
でも、この忘れられた人たちはレアな存在ではありません。けっこう周りにいるのです。少年たちは小学2年生ごろから困っているサインを出し始めます。ただ周りの大人が気がつかないのです。深刻なケースもあります。では専門家でもないワタシたちに、何かできることはあるのでしょうか? あります、それは…
まず知ることです。
ワタシの紹介では不十分、興味があれば…というより、たくさんの人に読んで欲しい一冊です。
ネットで購入ならこちら…
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…おしまい